すれ⇄ちがい②

遮木兎丸の日

20××/××/××
日記のそんざい忘れてた。わすれたり書いたりで、三年生になったのにまだ日記帳があまってる。一生おわらないかも。半年くらい前の俺は、上の前歯が抜けて大人の歯待ちをしてたらしい。半年前の俺へ、ちゃんと生えてきました。

今日の学校も、いろいろあった。クラスのやつらは、すぐ個性のはなしになる。なんであんなに好きなんだろ。テレビのはなしとか、ヒーローのはなしでいいのに。
焦凍は女の子に好きって言われることがおおくなって、全部ことわってるから、好きって言った子がきらいって言う子になってる。好きな人に好きになってもらえなかったら、もうその人のこと好きじゃなくなるんだって。わけわかんねーって思った。
焦凍のクールなところがいいって言ってたのに、焦凍の冷たいところがきらいってことになるらしい。でも焦凍のあれはべつに冷たいわけじゃない。のんびり屋なだけだと思う。考えるのがゆっくりで、言うのがゆっくりで、顔があんまり動かないだけ。それをこわいって言うの、ゴカイだよな。優しいしいいやつだよ。俺はちゃんとそう教えてやってるのに、1回きらいになったら、女の子はずっときらいっていう。けっこうひどい。

焦凍は人見知りで、知らない人が近いとちょっといやそうになる。それもまだなおらない。でも、それって悪いことじゃない。たぶんそれも個性だ。これは力のほうじゃなくて、性かくのほうの個性。なんかややこしい。同じ言葉でちがう意味ってへんだよな。どうおんいぎご? だっけ。ちがうか? まあいいや。

学きゅう会でまた焦凍が言われそうになったから、俺が手をあげた。あれは俺が言ったほうが、先生もみんなもききやすい。俺はおちょうし者だから、こういうのちょっとトクイ。ほうかご、今日は焦凍といっしょに帰った。焦凍は歩くのがおそい。一緒に帰るときだけ、ゆっくりゆっくり歩く。たぶんいっぱいおしゃべりしたいからだ。焦凍と帰る時はいそがなくていい感じがして好きだ。
帰り道で、焦凍のはなしを聞いてたら、なんかだまってた。たぶん個性のはなしをしたいけど、したくないんだと思う。だから俺から教えてやった。手でさわると、ちょっとへんな感じになるやつ。ほんとはあんまりやっちゃだめだけど、いたくないやつだし、特別に教えてあげた。
首の下をこしょこしょしたら、焦凍はくすぐったいのが苦手だからしゃがみこんで、へんな声出してた。焦凍は「ばか」って言ったけど、笑ってたからセーフ。曲がり角で、また明日なーって言ったら、焦凍がないしょ話してした。またこちょこちょってやってって。おもしろかったんだな、またやってあげる。ないしょでな。