十二日未明、県内有数の高級住宅地として知られる■■市白楡ヶ丘の住宅で、この家に住む会社経営者、久世敬三さん(54)ら一家5人が死亡しているのが見つかった。県警は同日、現場から逃走したとみられる男3人を強盗殺人などの疑いで逮捕した。死亡したのは久世さんのほか、妻の美佐さん(51)、高校2年の次男(17)、小学6年の長女(11)、次女(3)。一家が飼っていた大型の雑種犬1頭も、住宅内で死んでいた。
県警によると、十二日午前2時すぎ、久世さん宅と契約している民間警備会社から「防犯設備が作動した」と110番通報があった。警備員と警察官が相次いで現場へ駆けつけたが、侵入者はすでに逃走していた。住宅内には激しく争った跡があり、家具の一部が倒れ、複数の部屋が荒らされていた。現金や貴金属などが保管されていたとみられる場所にも物色の形跡があった。県警は、資産家として知られていた久世家を狙った計画的な犯行だった可能性もあるとみて、詳しい経緯を調べている。
逮捕された男のうち1人は右手に重傷を負い、指2本の一部を欠損していた。現場には犯人側のものとみられる多量の血痕が残されており、県警は、久世家の飼い犬にかまれた可能性が高いとみている。室内や庭からは血液のほか、毛髪なども複数採取された。飼い犬は10歳の雄で、ゴールデンレトリバー系とみられる大型の雑種犬だった。
捜査関係者によると、犬は住宅の奥で、次女が倒れていた場所のすぐ近くから発見された。全身に複数の傷を負い、幼い次女を覆うような姿勢で倒れていたという。玄関付近から住宅内部へ続くように犬の血痕や足跡も残されていた。県警は、侵入者が住宅へ入った直後から犬が抵抗し、その後も室内を移動しながら襲撃者へ向かった可能性があるとみている。近隣住民の一人は、「人が大好きな犬だった。散歩で会えば、知らない人にでも尻尾を振るような子だった」と話した。
一家の長男(26)は事件当時外出しており、無事だった。県警によると、事件を知って自宅へ戻った長男は警察から事情を聞かれた後、親族に付き添われて現場を離れたという。久世さんは市内で複数の事業を手掛ける会社を経営していた。久世家はこの地域に古くから土地を所有する家の一つで、白楡ヶ丘周辺にも複数の不動産を所有していたという。
白楡ヶ丘は市街地を見下ろす丘陵部にあり、大型住宅が並ぶ閑静な住宅街として知られている。自治会による防犯活動も盛んで、周辺住民によれば、深夜に人が出歩くことはほとんどないという。「ここでこんな事件が起きるなんて、考えたこともなかった」。現場近くに住む70代の男性はそう話した。「ご家族は昔からここに住んでいる。小さい子もいて、犬もいて、庭でよく遊んでいた。あの犬は本当に人懐こかった。『番犬にはならないな』って、ご主人が笑っていたこともあった」
別の住民は事件当夜について、「午前2時前後だったと思う。犬が激しく鳴いているのを聞いた気がする」と証言した。ただ、ほどなく聞こえなくなったため、異変とは考えなかったという。県警は、逮捕した3人のほかにも事件に関与した人物がいないか捜査するとともに、押収した車両や携帯電話などを解析し、事件前後の行動や役割分担について調べている。
白楡ヶ丘では十二日朝から、現場住宅へ続く道路の一部が規制され、鑑識官や捜査員が出入りした。規制線の外には、近隣住民が供えたとみられる花が時間とともに増えていった。その中には、一家5人に向けられた花束とは少し離れた場所に、小さな袋入りの犬用菓子がいくつも置かれていた。

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