弟妹たちの二日間の症状
冬美➡表情が乏しくなり、感情を外に出さなくなった。声を出すと何かが起きる気がして、泣き声も飲み込む。家事をしようとするが手が震えて上手く出来ず、「私がしっかりしなきゃ」という思考だけが空回りし、夜になると過呼吸気味になり眠りが浅くブツ切り状態。
夏雄➡罪悪感と恐怖が直結し、「自分が悪いから皆が壊れた」という思考に囚われた。言葉が詰まり、吃音が出現。呼吸が浅く、パニック発作に近い状態を繰り返す。悪夢を見ては陽火の部屋に行き、居ないことにまたパニックを重ねる。
焦凍➡状況理解が追いつかず、感情が一時的に凍結。音や刺激に過敏になり、人に触れられるのを嫌がる。夜間に悪夢で覚醒し、無意識に個性が出現して布団を燃やし、“炎の個性”が出たことでまた精神が不安定になる。兄がいない状況を「現実」として処理できず、救急車が家の前を通ると飛び出して追いかける。
東京に行ってる父➡通いのお手伝いさんが休みという情報を得ていない(陽火がそこら辺確認していた)。自分の事務所の若手に様子を見るように頼んだが、何の詳細も言わなかったため、頼まれた若手も「なるほど! 警備だな!」と夜間見回りだけやってた。言ってくださいよ、子供たちの生活の様子をみて欲しいって……………。不審者の警戒の方だけしてた。
【医者】
言見 直
三十代後半男性医師。精神科を主とする総合診療医で、救急当直にも頻繁に入る現場型の医師。口数は少なく、説明は簡潔で、感情を表に出さないタイプに見えるが、患者の変化には異様なほど敏感で、危険の兆候を見逃さない。
個性は《可視言語》本人の無意識下の感情や判断が、吹き出し状の文字として視認できてしまうというもの。感情と職業倫理のズレに長年悩まされてきたが、「言葉に出る前の本音」を自制の指標にすることで医師としてのバランスを保っている。ちなみに、彼の目には他人の“吹き出し”が見えている。
