さいつよ

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下山

アリアはしょんぼりしたまま、襟首を掴む手とブラムウェルの顔を交互に見ていた。随分と気の毒な様子だが、二人の間に何があったのかはフィロンも知らない。下手に口を挟んでもよいことはなさそうなので、ひとまず見なかったことにした。 人間関係というのは...
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行方不明者確保

フィロンは少し困っていた。蛇なので表情には出ないが、眉があれば今頃は困ったように下がっていただろう。  この姿に生を受けて数百年。どうやら自分は、自分自身の種族についてほとんど何も知らなかったらしい。 白い鱗に赤い瞳。長く生きるうちに随分と...
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【閑話休題】一方その頃、ガウーワくんちゃん。

にんげんを助けた私は、三匹のきょうだいを引き連れて、えっちらおっちら家へ帰っていた。​ 引き連れて、という言い方には若干の語弊がある。実際には私が先頭を歩いている時間より、横から体当たりされて雪へ転がされている時間の方が長かった。 後ろを確...
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一般待機医師

少し前​───────​​​ 神獣と別れてから、救助隊の空気は目に見えて軽くなっていた。 昨夜から誰もが口に出さず抱えていた最悪の想像が、ひとまず遠ざかったのだから無理もない。レオンハルトは生きている。それも神獣本人が居場所を知っており、進...
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一般待機白蛇

少し前​───────​ 遠くで二度目の鳴き声がした。今度はフィロンにも、先ほどより明らかに近づいていることが分かる。ガウーワの母親はかなり大きく、まだ姿が見えない距離からでも声だけはよく通った。意味も聞き取れる。帰ってきなさい、今すぐ、も...
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一般通過神獣

最初に動いたのは、大柄な一頭だった。雪を蹴った、とブラムウェルが認識するより早く、白い身体がこちらへ向かって跳ねる。耳は立っている。爪も出ていない。口まで半分開いていて、どう見ても怒ってはいなかった。​ だから余計にまずい。怒っている獣なら...
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バッドイベント 好奇心はカエルを殺す

岩角鹿の処理が終わる頃には、先ほどまでの騒ぎが嘘のように森へ静けさが戻っていた。​ 雪の上には蹄と人間の足跡が無茶苦茶に残り、何人かの神官は法衣の裾まで濡らしている。それでも怪我人は一人もいない。あの巨体を相手にして、である。​ ブラムウェ...
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神獣会談②

褒め褒めダンスを二度も見せてあげたので、私は満足してその場へ座った。 レオンハルトもこれ以上私へ文句を言う元気はないらしく、岩へ背中を預けたまま、自分の左脚を眺めている。外套を切って作った布が二本の枝をしっかり押さえ、さっきまで好き勝手な方...
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「その時女神は仰られた。力を授かりし者よ、汝が力は汝がためにあらず。弱き者の前に立ち、来たる災いをその身にて受けよ」 ――『女神聖典・守護篇』第二章十七節

山へ入ってから、まだ一刻も経っていなかった。昨夜に比べれば視界はずっといい。雲は厚いが雪は降っておらず、木々の隙間から白っぽい昼の光が差し込んでいる。足元の雪も、陽の当たる場所では表面が少し緩み始めていた。 その代わり、一度踏み抜けば脛まで...
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神獣会談

小さな人間は、まだ泣いていた。さっきみたいな大声ではない。息を吸うたび鼻がぐずぐず鳴って、袖で顔を拭ったあとにも、目の端から勝手に涙が出ている。 あれだけの悲鳴を上げたのだから、こっちが怖いのはまだ変わっていないと思う。それでも逃げようとは...