さいつよ

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ただのレオンハルト

目が覚めた時、最初に思ったのは、寒くない、だった。次に、全身が痛いと思った。頭も、右肩も、腰も痛い。何より左足がものすごく痛かった。 目を開けても最初は白いものしか見えなくて、俺はしばらく自分がどこにいるのか分からなかった。頬へ触れているも...
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一方その頃 洞窟にて②

朝、目を覚ましたとき、洞窟の中には誰もいなかった。正確には、誰もいないように見えた。 お父さんもお母さんも叔父虎も、ガブもヴァウもナーヤもいない。いつもなら誰かしらの身体が私の上か横か下にあるのに、今日は寝床の草が少しへこんでいるだけだ。夜...
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『異(略)』③

夕食が終わる頃には、外はもうすっかり暗くなっていた。冬の山は日が落ちるのが早い。王都ならこの時間でも大通りには魔石灯が並び、店もまだ開いているけど、セデ村では家々の窓から灯りが漏れているくらいで、その向こうは何も見えなかった。 俺たち使節団...
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『イベント』の裏側

心ばかりのおもてなし、とアリアは言っていた。たしかに、心ばかりではあったのだろう。 セデ村には宿屋がない。十五人近い人間が前触れもほとんどなくやって来て、その全員へ寝床を用意しただけでも大仕事である。 各家から余っている毛布を引っ張り出し、...
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一方その頃 洞窟にて

「フィロン、恋バナして」「コイバナ?」「恋人とのおはなし」 昼寝には少し遅く、夕方の眠気にはまだ早い、なんとも中途半端な時間だった。お父さんとお母さんと叔父虎は朝から出かけていて、洞窟には私たちきょうだいしかいない。 午前中に散々走り回った...
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『異(略)』②

結論から言うと、俺はアルディナ王国へ向かうことができた。 もちろん、父上に神獣を見に行きたいと話して、その場で「いいよ」と許可が出たわけではない。 むしろ翌朝、朝食が終わるのを待って書斎へ押しかけ、「アルディナへ行きたいです」と切り出した瞬...
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神官バトル GO!FIGHT!

アリアが氷嶺白虎の成獣に吹き飛ばされてから、二十日が経った。 あの日、目を覚ましたアリアから息継ぎも怪しい長さの謝罪を聞かされたあと、ブラムウェルは本気でこいつを王都へ送り返してやろうと思っていた。現地協力者の指示を無視し、幼獣へ自分から近...
さいつよ

『異世界転生して十年、侯爵家の次男として何不自由なく暮らしていた俺ですが、剣も魔法も特殊能力もあるのに何も起きないと思っていたところへ神獣出現の報せが来たので、ついに俺の冒険が始まるようです』

サウナで死んだ。 いや、正確な死因は知らない。前世の俺が最後に覚えているのが、仕事帰りに寄ったスーパー銭湯のサウナだった、というだけだ。しっかり蒸されて、水風呂に入って、外気浴用の椅子へ座った。ああ~~~整う~~~、と頭の中で伸ばしたところ...
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知命

朝起きたら、家族の会話が分かるようになっていた。 正確には私が分かるようになったわけではなく、洞窟の天井のどこかに潜んでいるらしいフィロンが、聞こえてくるものを片っ端から教えてくれているだけである。姿は見えない。昨夜のうちにちょうどいい隙間...
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獣語

私が何かすごく気の利いたことを言えたとは思わない。思ったことをそのまま話しただけだし、途中から自分でも何の話をしているのかちょっと怪しかった。それでもフィロンは黙って最後まで聞いていた。地面すれすれまで下がっていた頭も、いつの間にか少し持ち...