2026-01

珍獣パレード

小居底乃という男のはなしをしよう。

これは小居底乃おい そこのと名乗る男の話だ。 おい、そこの。そう呼ばれ続け、それとしか呼ばれなかったので、なんとか覚えた漢字を当て嵌めて名前のかたちをとっただけのものを後生大事に抱え込んでいる。 名前とは本来、呼ばれるたびに少しずつ輪郭を得...
珍獣パレード

善積あいという女のはなしをしよう。

善積よしづみあいは奮起した。 後輩が、講義終わりの薄暗い廊下で、あまりにも軽い調子で持ってきた噂話を、あいはなぜか笑い飛ばせなかった。 怪しいよ、変だよ、普通じゃないよ​─────そう言う声が周囲からいくつも重なっていたのに、「でもそこって...
いきてきたるif

いきてきたるif(それから)④

お絵描きコーナーと化したホワイトボードに、弔くんが迷いなく長方形を描いた。 定規を使わないのに妙に角がまっすぐで、根が几帳面なんだなとホンワカする。俺はペンのキャップを指で触りながら、次は「べ」から始まるお題で何が描かれるのかを眺めていた。...
いただきもの

珍獣パレード 歪皮まっしろ

わっふるさんから!
すれ⇄ちがい

すれ⇄ちがい③

 
すれ⇄ちがい

すれ⇄ちがい②

 
すれ⇄ちがい

すれ⇄ちがい①

 
いきてきたるif

いきてきたるif(それから)③

トレーニングルームに入り、さっきまでギャンギャン吠えていた弔くんは、グローブを外された途端に吠えるのをやめた。 開始の合図も無く人を殺すと決めた生き物の目で、獲物の喉までの距離と角度だけを測っている。 父さんはトレーニングルームの真ん中に立...
いきてきたるif

いきてきたるif(それから)②

燈矢の帰還から数ヶ月。国の支援と医療の介入が入って、燈矢はひとまず落ち着いている。三年という時間の経過がそうさせたのか、経験したものの大きさが思考の形を変えたのか。かつて俺に向けていた苛烈な八つ当たりみたいな棘は目に見えて減った。減ったが、...
いきてきたるif

いきてきたるif(それから)①

燈矢が帰宅した当日、本来なら警察や病院へ連絡して身元確認や保護の手続きを進めるのが筋だった。が、我が家はその「当たり前」に手を伸ばす余裕はない。 燈矢がそこにいる、息をしている、触ると体温がある。それだけで全員の神経が限界まで張りつめていて...
いきてきたるものがたり

祝祭は薄い光で出来ている

「父さんのNo.1ヒーロー就任を祝して~~~、カンパーイ!」 俺が缶をやたら高く掲げると、燈矢くんはニターと貼り付けたように笑いながら「乾杯」とだけ言って、自分の缶を軽く寄せてきた。 コツン。金属同士が触れる軽い音がして、次の瞬間、炭酸の泡...
いきてきたるものがたり

わおん!

「お前さァ……」と、弔くんの呆れきった重たい声が頭の上に落ちてくる。ご帰還早々、断罪パート2に突入した。俺はというと床に正座しております。見てください、この反省しきった姿を。「自分では報連相報連相うるせえくせに、なんで“火継”のこと黙ってた...
いきてきたるものがたり

わるいいぬ

“先生”を失ったという取り返しのつかない大敗北を背負った直後、俺は別ベクトルの大ピンチに陥っていた。俺が国を騒がしている大ヴィラン、【あかり教】象徴的教祖、あかり様……公安が勝手につけたヴィランネーム、“火継”だと、ついにバレてしまったから...