2026-09

改稿

親譲りの悪辣

「ふざけんなよなんだこれアンチかてめえ!!」  とうとう我慢ならなくなって、俺は手元の本を引き裂いた。ばりばりと景気のよい音を立てて背表紙が割れ、床に散らばった頁をさらに踏みつける。本当にふざけないでほしい。この世の隅っこでやってるだけなら...
改稿

そのハッピーエンドに火を放て

ベアトリーチェ・エーレンフェルトが前世の記憶を取り戻したのは、王立学院への入学を二ヶ月後に控えた春のことだった。 その日、彼女は婚約者である王太子から贈られた本を読んでいた。異国の風習について書かれたもので、挿絵の中に見覚えのある建物を見つ...
オリジナル

あるところに魔力を譲る姉と病弱な妹がいました。

頭を打って前世の記憶を思い出した。  こういうの、何ていうんだっけ。異世界転生? 悪役令嬢? いや、悪役令嬢かどうかはまだわからない。そもそも私、どういう訳か今世の記憶がほとんど残っていない。頭を打ったせいで、一時的な記憶障害……とは説明さ...
オリジナル

明日も、明後日も、その先も

「婚約を解消していただけませんか」  その一言を伝えるために、イゼルディアは何度も言葉を飲み込んでいた。顔を上げられず、婚約者の胸元に飾られた銀の留め具ばかり眺めていると、幼い頃から慣れ親しんだ声で名前を呼ばれた。以前なら、それだけで嬉しく...
オリジナル

あなたが明日もわたくしを愛していますように!

黒髪の男が憎かった。物心がついた頃から憎かったので、何か理由があるのかと尋ねられても困る。黒髪の男に殴られたことも、騙されたこともないし、そもそも黒髪というのは魔力の強い者に現れやすい特徴で、平民には滅多にいない。いたら速攻で良い感じのおう...
BL

献身的聖者は愛の為に神を殺せるか?

私は神を殺そうと誓ったのです! どうかお聞きください。笑ってくださっても構いません。私はもう、何を笑われてもよいのです。けれど最後までお聞きください。途中でお帰りになっては困ります。私は生まれてから今日まで、正しく生きてまいりました。幼い頃...
BL

After You Let Go

side:R  死んだ瞬間のことは、案外よく覚えている。痛かったからではない。痛いと思う暇がなかった。  薄暗いダンジョンの十七階層、苔の光がぼんやりと石壁を照らしている通路で、曲がり角の先から白くて丸いものが飛び出してきた。大きさはそこら...
BL

『ゆーたくん、こっちみて!』

榎本律が小峰千紗のメッセージを黒板に貼ったのは、中学二年の冬だった。千紗は同じクラスの女子で、制服の袖から覗く手首が目につくほど細く、体育は見学していることの方が多い。冬になれば教室の中でも膝掛けを使い、授業中に咳き込んでは保健室へ行った。...
ばつばつさま

匿名掲示板 どろぬま(※この先、日本国憲法は適用しません)

匿名 26歳​小学生のころ好きだった子の話をしていいですか。なんか急に思い出してしまって、誰かに聞いてほしくなった。俺は小学校の途中で親が離婚して、父親について■■市のある町へ引っ越した。前の学校ではずっと友達ができなくて、いじめられてた。...
ばつばつさま

【急募】友人が取り憑かれたかもしれない【霊能者】

001:ななしのおばけ■■県の山に友人と行ったんだ。各駅電車で向かってたら、途中で窓の外見てた友人がいきなり立ち上がって、目的地でもなんでもない駅で降りた。俺も慌てて追いかけたんだけど、あいつホームに荷物全部落として空見上げてんの。「どうし...