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のんき で すなお で たべるのが だいすき だった
あまったれ で かわいい ほんとう は おくびょう な ハブネーク
あるひ あさのこと
良いことなど、一つもない。ハブネークはいつもそう思っていた。生まれたときから身体が大きかった。だから目立ったし、目立つから人間に見つかって、痛めつけられた。
それが恐ろしくて逃げ出せば、今度はザングースに囲まれてボコボコにされた。あいつらは揃いも揃って毒への耐性を持っているので、ハブネークの毒がろくに効かない。ひどい依怙贔屓だと思う。そこまで一方的に有利にするのなら、せめて奴らの爪を剥ぐくらいの平等性は持たせてほしい。
仲間の群れへ行きたかった。できれば同じハブネークのいるところで、目立たず、揉めず、静かに暮らしたかった。それだけなのに、逃げて、逃げて、逃げ続けて、結局どこへ行っても逃げきれない。ハブネークの一生は、だいたいこんな感じだった。ずっとこうだ。ずっと何かから逃げている。
生まれたときから大きかった身体は、歳を重ねるにつれてますます大きくなった。
おかげで、見た目だけで勝手にボスへ祭り上げられたことまである。そんなものになった覚えはないし、なりたくもなかった。前へ出ろだの、群れを守れだの、知らないハブネークたちから妙な期待の目を向けられるのが恐ろしくなって、そこからも逃げた。
そうして逃げ続けた罰が、とうとう当たったのだと思う。
「どぅわあああ! でけえ!? えっ、ていうかヌシ?? 死んでる??!」
若い人間の声がした。
尻尾のあたりを踏まれた気もする。普段なら飛び上がって逃げていただろうが、今はそれどころではなかった。白い毛むくじゃらどもに散々やられた背中の傷が、脈打つたびに熱を持って痛む。身体を動かそうという気力も残っていない。
もういいや、とぼんやり思った。
人間だろうが、ザングースだろうが、なんだっていい。好きにすればいい。そうして全部を無視するように目を閉じた。
次に意識が浮かんだとき、自分が何か温かいものに包まれている気がした。夢なのかもしれない。こんな自分を、痛めつけるためでも追い払うためでもなく、ただ包むものなどあるはずがない。
だからきっと夢だ。そう思いながら、遠くで胡桃の実を割るような、硬く小さな音を聞いた。
カチン、と。

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