成り損ない朽縄

こわい

 幸せなうちに終わってしまいたいと思うのは、今が幸せだとちゃんと分かっている証拠だと思ってくれ。

『アナタより先に死んでしまいたい俺を、許しておくれね』

「なんか元気ないな。ポロック食べるか? ポフィンの方がいいか? そういえばポフレってやつを注文したんだ。明日届くから、それは後で食べような」

『アナタがくれるなら、なんでもいいよ』

 鼻先をクリスピンの頬へ押しつけると、クリスピンはくすぐったそうに笑った。

「ははは、お前マジ食いしん坊だなあ! 慌てなくてもやるから落ち着けよ!」

『美味しいよ、アナタ。幸せだよ』

「食ってる時だけ静かな奴ー」

 食べているときは何も考えなくていいから、昔から好きだよ。生きることだけを考えていればいいからね。腹が減ったから食べる。美味しいから嬉しい。それだけで済んでいた。

 でも最近は、食べているときまでアナタのことを考えてしまう。

 これをくれたのはアナタだとか、明日もまた何か食べさせてくれるんだろうなとか、そんなことばかり考えてしまう。美味しいと思うたびに幸せで、幸せだと思うたびに、これがなくなる日のことまで一緒に浮かんでくる。

 だからちゃんと、処分しておくれね。

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