いきてきたるものがたり

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がんばれまけるな希望を捨てずに長生きしろよ

「わあああミスター!! 会いたかった!!」「うわああああ危ねえこっち来るな!!!」 待ち合わせ場所で久しぶりの再会に浮かれて、親愛のハグをかまそうとしただけの俺は、ものすごい勢いで突き飛ばされた。なんで……ミスター……ひどいよ……。「あっぶ...
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錆喰う継ぎ目に罅至り

火口 炯介先代若頭の腹心、仇討ち後に離脱、現在も所在不明円伐 研ギ子先代若頭の懐刀、仇討ち後に離脱、現在も所在不明一生橋 郷山組長派筆頭、オーバーホールによる粛清にて死亡來場 生繁組長派組員、一斉検挙により収監怒初天 努創先代若頭付き、仇討...
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【死後、その愛は滅菌された】

今から話すのは五年前に死んだ、八斎會の若頭だった男の話だ。 今はもうその男の義弟、組長の養子であるオーバーホールが“若頭”として頭角を現しているが、数年前まではその席に違う男がいた。 歳は四十近かったが、年齢よりは若く見えた。落ち着きがなか...
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足場の澱

「極道者たち~~、今日の糧ですよ~~」「なんだよ、チキンライスじゃねえじゃねえか!」「文句があるなら食べなくてよろしい! 俺はここの関係者じゃないんだからな、提携会社の出向社員だぞ! 客みたいなものに飯を奢ってもらってる立場なんだから、まず...
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やわらかな牙

特に前提もなく「おい、行くぞ」と言われたので、まあお散歩ですワンねえ……とノコノコついて行った結果、死穢八斎會の事務所に向かうことになりました!! なんで?「弔くん、俺何のために同行するかんじ?」「護衛」「護衛!? 俺が!!? 俺の弱さ舐め...
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返礼の算段

「療養中の独身男性! 無事ですかー!」 ドクターのところの処置室────という名目になっている、複数ある拠点のうちのひとつへ勢いよく突撃すると、ベッドの方から手が一本だけ上がった。「療養中の独身男性は、熱が出てきて大変つらいことになっており...
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放たれた犬

今回の仕事は、いやに長引いた。 最初の予定時刻なんてとっくに過ぎていて、空の色まで少し変わってしまっている。けれど、仕事相手もこっちと同じくヴィランだ。時間通りに話が終わる方を期待するのが間違っているのかもしれない。 交渉役は俺だったが、護...
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【噛み合わないままの共鳴】

最後の診察を終えた帰りだった。 病院の自動ドアが背後で静かに閉まり、建物の中に満ちていた消毒液の匂いがようやく薄まる。 夕方にはまだ早いはずなのに、空はもう白く疲れた色をしていて、ガラス張りの外来棟も、駐車場の白線も、どこかくたびれた光を返...
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【指揮者は外に会議は踊る】

会議室には、紙の擦れる音と、空調の低い唸りだけが満ちていた。 大型モニターには廃倉庫周辺の地図、避難経路、交通流の推移、死傷者発生位置、通報時刻の一覧が、いくつもの層になって表示されている。 壁際には所轄、警備、公安、交通、通信対策、危機管...
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【終わらせ損ねた祈りの末路】

人の気配がほとんどない会議棟の奥、使われていない時間帯の会議室の扉が、躊躇のない動きで押し開かれた。 静まり返っていた室内に、キャスターの付いたスーツケースが床を転がる低い音が響く。入ってきたのは一人の女だった。 背筋をまっすぐに伸ばし、移...
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BLUE BIRD

やることは山ほどあるけど、性急に進めてもいいことはない。 焦って雑に動けば、取り返しのつかない穴が増えるだけだし、今の俺たちには「急がない」って判断を選べる。最も必要な仲間集めをコツコツ続けながら、足場をもう一回組み直していくだけだ。 ヴィ...
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廃ビルから輝く未来へ

新拠点と呼んでいるこのビルは、正直に言えば「拠点」と言えるほど立派な代物じゃない。 外壁のコンクリートはところどころ剥がれて鉄筋が覗き、窓ガラスは割れているか、割れたままベニヤで塞がれているかのどちらか。夜になると風が隙間を縫って入り込み、...
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祝祭は薄い光で出来ている

「父さんのNo.1ヒーロー就任を祝して~~~、カンパーイ!」 俺が缶をやたら高く掲げると、燈矢くんはニターと貼り付けたように笑いながら「乾杯」とだけ言って、自分の缶を軽く寄せてきた。 コツン。金属同士が触れる軽い音がして、次の瞬間、炭酸の泡...
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わおん!

「お前さァ……」と、弔くんの呆れきった重たい声が頭の上に落ちてくる。ご帰還早々、断罪パート2に突入した。俺はというと床に正座しております。見てください、この反省しきった姿を。「自分では報連相報連相うるせえくせに、なんで“火継”のこと黙ってた...
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わるいいぬ

“先生”を失ったという取り返しのつかない大敗北を背負った直後、俺は別ベクトルの大ピンチに陥っていた。俺が国を騒がしている大ヴィラン、【あかり教】象徴的教祖、あかり様……公安が勝手につけたヴィランネーム、“火継”だと、ついにバレてしまったから...
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巨悪は一旦敗れたらしい

“先生”のいる方向で、空気そのものが破裂したみたいな大音量と振動に襲われた。鼓膜が悲鳴を上げ、足元が一瞬ふわりと浮く。それでも、そんなものはどうでもよかった。それより先に、胸の奥で煮えたぎった怒りが全部を押し流す。 ゆゆゆゆるさねえからなヒ...
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【珍獣パレード】

「こちらは、防災無線です。緊急の安全案内をお伝えします。現在この周辺で建物崩落の危険があります。二次崩落、有害粉塵の可能性があります。近づかず、落ち着いて距離を取ってください。けが人や取り残されている人を見かけた場合は119番へ、場所を伝え...
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【最悪】

「なんで“あかり”がいるのよ……!」 頭上、遥か上空から落ちてきたマウントレディの声は、怒声というより苛立ちを噛み殺しきれなかった舌打ちに近かった。音量は抑えられているはずなのに、夜気を伝ってやけに鮮明に耳に届く。その一言だけで、現場の空気...
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【若者のノリで全部破綻】

会議室の空気は、静かすぎるほど静かだった。壁一面のモニターに映し出された資料だけが、ここに集まった人間たちの思考の密度を代弁している。 公安、ヒーロー、分析官、作戦参謀​─────誰一人として軽口を叩く者はいない。これは“戦いのための最終段...
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整列した沈黙は破られた

ジュネーブ諸条約違反により、追放されました。言い訳を聞いて欲しい、悪気はなかった。 俺たちとの激しい戦闘の後で、爆豪くんが汗と泥にまみれていたのは事実だ。それに爆豪くんは、こちらが「治療させてね」と言って素直に頷いてくれるような性格でもない...