某月某日 ザングースが可愛すぎて俺はどうしたらいい?
友人のメタモン(ようき)が遊びに来ていたので、俺にへんしんしてもらった。顔も服装も声も俺そのものになったメタモンと並んでザングの前へ立ち、「どっちだー?! 」と両側から指差してみる。長年一緒にいる相棒なんだから当然一発で見抜くだろうし、見抜いたあと俺の方へ駆け寄ってきたりしたらどうしよう。俺はその場で泣いてしまうかもしれない。そんな期待を胸いっぱいに抱いていたのだが、ザングはまず俺たち二人を見比べ、それから心底迷惑そうな顔をした。明らかに「何やってんだこいつら」という顔だった。
ただ、そこは俺のザングである。完全無視するほど薄情ではない。一応付き合ってやるか、とでも思ったのか、腕を組んだあと顎に手を当て、俺とメタモンを交互に見ながら考えている風の仕草までしてくれた。そうそう、それそれ! 真剣に考えて! 見た目が同じでも匂いとか気配とか、俺たちだけに分かる何かがあるだろ?! ザングなら分かる! 俺は信じてる! と心の中で全力応援していたら、しばらく悩んだザングが「分かった」とでも言いたげに目を細め、すっと腕を伸ばした。
指差した先には、誰もいない壁があった。
俺でもメタモンでもなかった。第三の選択肢として壁を選びやがった。こいつ、正解する気がない。
あまりの仕打ちに俺が「ザングたん?! 」と抗議しようとした、その直後だった。ちょうど壁の向こう側から、おとなりさんのゲンガー(ようき)が「ゲゲッゲンガー! 」と元気いっぱい踊りながら飛び出してきた。両手を振って腰まで振って、何がそんなに楽しいのか分からないが、とにかくものすごくご機嫌だった。ザングはそのゲンガーを見て、一度だけうん、と頷いた。
あれは確実に「もうこいつでいいよ」って言ってた。
そんなつれないザングも俺、嫌いやない……きらいやないでぇ……!

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